川崎和男氏のこと(その5)
ギャラリー間の床は、真っ白なタイルで敷きつめられていた。靴は入口でぬぐ。
スリッパなんて無粋なものは用意されていない。
壁も白い。
部屋の中央に12本の、白い、細長い柱が建っていて、その上にオルゴールが置かれている。
「プラトンのオルゴール」は川崎先生のサイトで見ることができる。
左端WorksにあるMusic boxをクリックしてほしい。
12年後の2006年、金沢の21世紀美術館で開催された川崎先生の個展「いのち・きもち・かたち」にも
「プラトンのオルゴール」は展示してあった。
そして気がつくのだが、「プラトンのオルゴール」は、
柱の上に乗っているオルゴールひとつひとつのことではなく、
ギャラリー間に構築された空間そのものである。
21世紀美術館の展示では、タイルのまわりから見るだけで、作品そのものの中には入れない。
ギャラリー間では、川崎先生の作品の中に入っていたことになる。
だから、印象は強烈だったのか。
このとき受けた感じを、いまでもうまく表現できないでいる。