4343とL250(その3)
スピーカーの周波数特性で、振幅周波数特性を重視するか位相回転の少なさをとるかで、
ネットワークの次数は自然と決ってくる。
もっともシンプルで、カーブはゆるやかたが、位相回転の少ないのは−6dB/oct.型である。
古くは、井上先生が愛用されたボザークのスピーカーがそうである。
カーブがゆるやかなため、ひとつひとつのユニットの再生周波数帯域はある程度広く、
しかも周波数特性の両端に共振峰が少ないことが求められる。
そのためホーン型ユニットで採用されることはほとんどない。
L250のユニットは、すべてダイレクトラジエーター型。しかも専用ユニットが開発されている。
エンクロージュアもピラミッド型で、上部に行くに従い細くなっている。
平行面を減らし定在波を抑えるとともに、
JBLのスピーカーにはめずらしい、ユニットまわりのバッフルの面積を小さくするなど、
いわゆる音場型スピーカー的アプローチをとっている。
L250のプロトタイプは、グレッグ・ティンバースが、自身のために作ったものとのこと。
もしかすると、L250は、それまでのJBLのスピーカーとは異り、
逆相ではなく正相ではなかったかと、いま思っている。