ダイレクトドライヴとカートリッジのコンプライアンス(その3)
HI-FI STEREO GUIDEの’76-’77年度版をみると、
MC型カートリッジを出していた海外ブランドは、EMTとオルトフォンだけである。
当時日本に輸入されていた、という条件はつくけれど、
輸入されていなかったブランドで、MC型カートリッジを出していたところがあったとは思えない。
日本のブランドでは、コーラル、デンオン、ダイナベクター、フィデリティ・リサーチ、光悦、
マイクロ、サテン、スペックス、だけである。
これが長島先生の「図説・MC型カートリッジの研究」が出る1978年には、
オーディオテクニカ、アントレー、グレース、ハイレクト、ジュエルトーン、ナカミチ、
ソニー、テクニクス、ビクター、ヤマハ、フィリップスからも登場している。
「図説・MC型カートリッジの研究」以降MC型を出してきたブランドは、
アキュフェーズ、オーディオノート、エクセル、グランツ、ゴールドバグ、Lo-D、
ラックス、パイオニア、サトームセン、ソノボックス、YL音響、エラック、ゴールドリング、
リン、ミッション、トーレンスなどがあり、
それまで一機種しか出していなかったところからも、数機種登場したりしている。
MC型カートリッジのブームが来た、といえる。
ブーム前もそうなのだが、MC型カートリッジをつくり続けてきた、といえるのは、
日本のカートリッジメーカーであり、
MC型カートリッジのブームが来たのも、
海外で日本のMC型が高く評価されるようになってきたから、ときいている。
ブーム後に登場した海外ブランドのMC型も、日本製であるモノがいくつもあった。
ダイレクトドライヴを開発したのは、いうまでもなく日本のテクニクスであり、
テクニクスの成功に刺戟され、国内各社はダイレクトドライヴに移行した。
そのダイレクトドライヴの音質に疑問をいだかせるきっかけとなったMC型カートリッジを、
決して製造中止にすることなくつくり続けてきたのも日本のオーディオメーカーである。