Date: 2月 11th, 2011
Cate: 音楽性
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「音楽性」とは(その10)

音楽性、そして欠陥スピーカーとはいったいどういうものなのかについて考える上で、
いいヒントとなる話を菅野先生が、ステレオサウンド 54号の座談会の中で語られている。

この号の特集は「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」で、
瀬川先生、黒田先生と試聴のあとに、総論といくつかのスピーカーについて話し合われている。
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特に私が使ったレコードの、シェリングとヘブラーによるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、ヘブラーのピアノがスピーカーによって全然違って聴こえた。だいたいヘブラーという人はダメなピアニスト的な要素が強いのですが(笑い)、下手なお嬢様芸に毛の生えた程度のピアノにしか聴こえないスピーカーと、非常に優美に歌って素晴らしく鳴るスピーカーとがありました。そして日本のスピーカーは、概して下手なピアニストに聴こえましたね。ひどいのは、本当におさらい会じゃないかと思うようなピアノの鳴り方をしたスピーカーがあった。バランスとか、解像力、力に対する対応というようなもの以前というか、以外というか、音楽の響かせ方、歌わせ方に、何か根本的な違いがあるような気がします。
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これに関連する話を1年ほど前に聞いた。
その話をしてくれた人は、日本のポップス歌手を、歌唱力が全くない、はっきりいって下手だ、と。
かなり強い口調で、なぜ、あの歌手が、歌が巧いといわれるのか理解できない、とも。

その歌手の歌を、私はきちんと聴いたことがない。
テレビもラジオも持っていないし、当該歌手のCDも持っていないからだが、
たまに断片だけを耳にする、その歌手の歌を、その人が力説するほどひどい、とは思わない。

少なくとも、歌がほんとうに好きなんだな、とは感じていた。
もっともCDを買ってきて、きちんと聴くとどう、そのへんの印象が変るかはわからないが、
少なくとも、そこまでひどくは思わないだろう。

ヘブラーと、この歌手の話は、スピーカーによって、
「音楽の響かせ方、歌わせ方」に根本的な違いがあるから、だと思う。

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