オーディオにとって真の科学とは(その4)
(その3)でも書いたスピーカーケーブルの長さの極端な違いによる、
スピーカーからの音圧の低下。
これは物理現象としても数値として確認できる。
つまりは音は変っているわけである。
しかもはっきりと。
聴感上だけでなく、数値上も変っている。
にも関わらず、ケーブルで音が変らないと頑なに主張する人は、
音圧低下分だけボリュウムを上げれば同じになる、という。
つまり音圧レベルの変化は、音の変化ではないということらしい。
すごい理屈だと思う。
そんな程度の人が「オーディオは科学だ」といい、
ケーブルで音が変るなんて、オカルトだ、といっているのである。
ボリュウムを上げれば同じ、という人の考えは科学とはいえない。
絶対的に科学とはいえない。
観測条件を意図的に変えているわけだから。
こういうことを何の疑問もなしにやってしまう人は、
いったい何なのだろうか。
オーディオマニアとはいえないし、オーディオを科学と捉えているともいえない。
本人がいくら「オーディオを科学として捉えている」といったところで、
自らの言動が、そうでないことを誰の目にもはっきりと表している。
本人は、なぜそのことに気づかないのか。
二本のケーブルの音を比較するにあたって、
ケーブルの品種の違い以外のすべてを、どれだけ条件を同じにできるか。
これは想像以上に難しいことであり、微妙な音の差を聴き分けようという場合には、
さらに難しさは増すにも関わらず、
ブラインドフォールドテストによる結果のみがオーディオの真実だ、といっている人の多くには、
理解されていないようである。
ブラインドフォールドテストを無意味とは考えていない。
けれど本当の意味でのブラインドフォールドテストを行うには、
ケーブルで音は変らない、としか聴こえない耳、
そして音圧低下分はボリュウムを上げればいい、と考えてしまう知性では、
はっきりと無理である。