セッティングとチューニングの境界(その10)
あとやったことといえば、
セッティング、チューニングの過程でディスクを決めて、
一度もCDプレーヤーの中から取り出さない理由も、音で確かめてもらった。
特別なことではない。
トレイにディスクをセットして再生する。
再生をストップしてトレイを出す。
ディスクには手を触れずに、もう一度再生する。
CD登場後、しばらくして話題になったことである。
そんなことで音は変らない、と言い張る人もいた。
実際に音を聴かせても、変らないじゃないか、という人もいた。
インターネットでも、そんなことで音は変らない、という人はいる。
変らないのと聴き分けられないのとは、同じではない。
そしてセッティングが不備があれば、この違いは確かに出にくい性質ではある。
もちろんCDプレーヤーによっても、差の出方は違うし、
必ずしも二回目が音が良くなるとは限らない。
一回目と二回目で差が出るということは事実である。
だからといって常にそうやって聴いているわけではない。
慣れれば、うまく鳴っていないということはすぐにわかる。
そういう時だけトレイの出し入れをやるくらいだ。
とはいえ、この音の違いは、こまかなセッティング、チューニングにおいては無視できない。
ディスクを何枚も聴いてやるのもいいけれど、そうすることで、
変えているつもりはないところが変っている可能性があることを常に意識しておくべきである。
ラックスのD38uは、一回目と二回目の音の差はあるほうだといえよう。
参加された方が、こんなに違うんだ、と驚かれていた。