セッティングとチューニングの境界(その7)
何をやったのかを具体的に書かないのは、
1月4日に喫茶茶会記における音の変化を聴いていない人に、
どれだけ細かく書いたところで意味がない、と思っているからだ。
仮に具体的に書いたところで、同じことを読んだ人がやったところで、
同じにはならない。
なぜかといえば、同じことをやったつもりでも、同じようなことでしかないことが大半だからである。
私がやったことと同じことができる人ならば、
すでにやっているか、どんなことをやったのかがおおよそ想像がつくはずだ。
それに喫茶茶会記のスピーカーは、いわゆる自作スピーカーに類するモノである。
既製品のスピーカーシステムに応用できることもあれば、そうでないこともある。
私は、その場に来てくれて、そこでの音の変化を感じ取ってくれた人には、
出し惜しみはしない。
訊かれたことにはできるだけ答えるようにしている。
それでも、そこでやったことをそのまま、
その人がその人のシステムに応用できるかは別の話である。
重要なのは何をやったかではないから、
ここで具体的なことは書かないだけである。
「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」の七曲目にしぼって、
チューニングをすすめていった。
最初にやったことが効いた。はっきりとした手応えだったから、次にとりかかれる。
ここで 三段階の音を聴いてもらう。
次にまた別のことをやる。
ここでも三段階の音を聴いてもらった。
こうすることで、演奏の場の感じが変っていく。
秩父ミューズパーク音楽堂での録音である。
このホールには行ったことはない。
ウェブサイトによれば、定員600人の大きさのホールである。
スピーカーのチューニングをするまでの音では、
どこで録音したんだろうか、と思っていた。
録音データはその時点では見てなかった。
チューニングをやっていくと、能の舞台のように感じられてきた。