第72回audio wednesdayのお知らせ(セッティングとチューニングの境界)
別項「使いこなしのこと(その2)」で書いたことのくり返しになるが、
約七年前のことだから、さらっとふれておきたい。
エレクトロボイスのSentry500SFVの試聴を、
ステレオサウンドの筆者ではなくHiViの筆者ふたりがやられていた。
なぜかHiVi編集者は立ち会っておらず、
筆者ふたりだけの試聴だった。
もちろんステレオサウンド編集者も立ち会っていない。
たまたま試聴室のある三階に工具に取りに降りた。
試聴室を覗かずとも聴こえてきた音は、冴えない鳴り方だった。
私の姿が筆者の目に入ったのか、呼び止められた。
この音をなんとかしてほしい、ということだった。
すべての結線を外して、セッティングをやり直した。
スピーカーの位置はいっさいいじっていない。
電源のとり方、信号ケーブルの這わせ方などを、いつもの試聴のようにしただけである。
時間にして五分程度のことだ。
そこでの音の変化はけっこう大きかった。
HiViの筆者ふたりの驚きは、大きかった。
彼らは、そこで私がしたことをチューニングと捉えられた。
けれど私の認識としては、そこでやったことはあくまでもセッティングの範疇だ。
ここがセッティングとチューニングの境界の曖昧さである。
そのころの私にとってのチューニングは、
いまの私にとってはセッティングの範疇になっている。
もちろんすべてがセッティングになっているわけではないが、
人によっても境界は違うし、同じ人でも年月が経てば境界は位置を変える。
2017年最初のaudio wednesdayは、1月4日。
場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。