マルチアンプのすすめ(その38)
1979年にティアックからPA7、MA7というセパレートアンプが登場した。
タンノイ専用を謳っていた。
同時にタンノイから、XO5000というエレクトリックデヴァイディングネットワークが出た。
XO5000もタンノイ専用といっていいいモデルだった。
2ウェイで、クロスオーバー周波数は専用ボードによって、それぞれ設定されていた。
1979年当時の現行製品だけでなく製造中止になっていたユニットも対象としていて、
ユニットごとに専用ボード、八種類が用意されていた。
XO5000が興味深いのは、パラメトリックイコライザーを搭載していることだ。
中心周波数は30Hzから200Hzまで連続可変で、帯域幅は0.3oct.から3oct.まで、これも連続可変。
そしてもっとも興味深いのは、遅延時間がカタログに載っている点である。
カタログには100μsec、200μsec(固定)、0〜400μsec(可変)となっている。
ウーファーに対してディレイを設定できるわけだ。
タンノイのユニットはいうまでもなく同軸型であり、
構造上、ウーファーのボイスコイルよりもトゥイーターのボイスコイルが奥に位置している。
同軸型ユニットの特徴を最大限活かすには、
ウーファーとトゥイーターのタイムアライメントをとることが求められる。
タンノイよりも早く、UREIはアルテックの同軸型604-8Gに対して、
内蔵ネットワークでタイムアライメントをとっていた。
タンノイはXO5000で、タイムアライメントを合せている。
つまりバイアンプドライブで、ということになる。
タンノイすべてのスピーカーシステムの内蔵ネットワークを回路図を見ているわけではない。
だから断言はできないのだが、
タンノイは内蔵ネットワークでタイムアライメントの調整は行っていないはずだ。
けれどバイアンプドライブ時には、タイムアライメントをとる。
ここにタンノイのスピーカーシステムに関する考え方があらわれているのではないだろうか。