Date: 9月 12th, 2016
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これまで(ヤマハNS1000M・その6)

1978年のステレオサウンド別冊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」で、
瀬川先生がヤマハのC2+B3の音について書かれている。
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 以前B2と組み合わせて聴いたC2だが、パワーアンプが変ると総合的にはずいぶんイメージが変って聴こえるものだと思う。少なくともB3の出現によって、C2の本当に良い伴侶が誕生したという感じで、型番の上ではB2の方が本来の組合せかもしれないが、音として聴くかぎりこちらの組合せの方がいい。B2にはどこか硬さがあり、また音の曇りもとりきれない部分があったがB3になって音はすっかりこなれてきて、C2と組み合わせた音は国産の水準を知る最新の標準尺として使いたいと思わせるほど、バランスの面で全く破綻がないしそれが単に無難とかつまらなさでなく、テストソースのひとつひとつに、恰もそうあって欲しい表情と色あいを、しかしほどよく踏み止まったところでそれぞれ与えて楽しませてくれる。当り前でありながら現状ではこの水準の音は決して多いとはいえない。ともかく、どんなレコードをかけても、このアンプの鳴らす音楽の世界に安心して身をまかせておくことができる。
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ヤマハのアンプの特質が、ここに表現されている。
すべてのヤマハのアンプが、ここに書かれている音を聴かせてくれるわけではないが、
ヤマハの、このころの優秀なアンプは、セパレートアンプ、プリメインアンプであっても、
まさに、ここに書かれているとおりの音といえた。

《国産の水準を知る最新の標準尺》、
これもまさにそうであった。
いつのヤマハのアンプをじっくり聴いているわけではないので、あえて過去形にしている。

《テストソースのひとつひとつに、恰もそうあって欲しい表情と色あいを、しかしほどよく踏み止まったところでそれぞれ与えて楽しませてくれる。》
これも、まさにそのとおりである。
「ほどよく踏み止まったところ」、これはほんとうにそのとおりとしかいいようがない。

そのような音のヤマハのアンプで鳴らすNS1000Mの音もまた、
他社製のアンプで鳴らすNS1000Mの音を評価していく上で、ひとつの標準尺として機能する。

ケンウッドのL02Aで鳴らすNS1000Mの音がいまも思い出せる私は、
そこにわずかなもの足りなさを感じるのかもしれない。

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