日本のオーディオ、これまで(ヤマハNS1000M・その5)
ヤマハは総合オーディオメーカーであったから、
NS1000Mを鳴らすためのアンプも用意していた、と見ていい。
となるとどのアンプがそうなのか。
型番からいえばプリメインアンプのCA1000(III)となる。
価格的にもCA1000が、ヤマハが想定していたアンプのひとつと見て間違いない。
CA1000の上級機としてCA2000が登場した。
当時のヤマハにはNS2000という型番のスピーカーはなかった。
CA2000もNS1000Mのためのプリメインアンプとみていい。
ただCA1000にしてもCA2000にしても、アピアランス的にNS1000Mにマッチしているかというと、
そうとはいえず、仕上げの違うNS1000との組合せを前提しているのか。
NS1000でも、木目の色調がかなり違うのも、実際のところどうなのだろうか。
アピアランスでいえば、NS1000Mを鳴らすアンプは、
プリメインアンプの中にはなく、セパレートアンプのC2とB2の組合せとなる。
価格的なバランスは、C2が15万円、B2が20万円で、
アンプにややウェイトを置きすぎのような気もするが、非常識な組合せではない。
C2とB2で鳴らすNS1000Mの音を聴いた人は、けっこういるのではないだろうか。
私もNS1000Mは、いくつかのアンプで鳴らした音を聴いている。
ステレオサウンドで働くようになって、けっこう数を聴いている。
ヤマハのアンプで鳴らすNS1000Mの音も、もちろん聴いている。
ステレオサウンド 64号の特集では、
プリメインアンプのA8と、セパレートアンプではC50+B50、C70+B70の音を聴いている。
悪い音ではなかったはずだ。
悪い音、ひどい音であればけっこう憶えているからだ。
でも、64号を読み返しても、ヤマハのアンプで鳴らしたNS1000Mの音をうまく憶い出せないでいる。
つまり印象にのこっていないからなのだが、
それはヤマハのアンプが冴えなかったからではない。
ケンウッドのL02Aで鳴らしたNS1000Mの音が良すぎたから、
その音の印象が強すぎるためである。