日本のオーディオ、これまで(ヤマハNS1000M・その3)
64号は1982年のステレオサウンド。
もう30年以上が経っているから書いてもいいだろうと思うことがある。
64号ではアンプの測定を行っている。
52号と53号ではダミースピーカーを使った測定だった。
64号では、負荷インピーダンスを急変させて測定を行っている。
誌面に掲載されているのは、
8Ωから1Ωに瞬時に負荷インピーダンスを切り替えた際の電流供給能力である。
グラフと実際の波形で表している。
これとは別に参考データとして、
8Ω/4Ω瞬時切替THD測定データが、九機種分載っている。
こちらはあくまでも参考データということで機種名はふせてある。
この全高調波歪で、一機種のみ圧倒的に優れた特性を示している。
これがケンウッドのL02Aである。
L02Aの瞬時電流供給能力の波形とグラフをみれば、
おそらくL024Aだろう、と推測していた人もいると思う。
64号では、電流供給能力の高さを謳っていた海外製パワーアンプもある。
マークレビンソンのML3、ハーマンカードンCitation XX(国内生産だが)、
クレルのKSA100などがある。
これらも良好な特性ではあるが、L02Aのデータと比較すると、
片やプリメインアンプで、片やセパレートアンプ。
価格も大きさもかなり違うにも関わらず、プリメインアンプのL02Aの優秀さには及ばない。
測定は長島先生が行われた。
私は補助で、傍らで見ていた。
L02Aの特性は、驚異的といえた。
何度測定しても見事なデータを示す。
驚歎していた。
どこまでL02Aは耐えられるのか、そんなふうになってしまい、
最後には燃やしてしまった。
こう書いてしまうと、L02Aを不安定なアンプ、危ないアンプと勘違いされるかもしれないが、
逆である。
おそろしく動作が安定していたからこそ無茶な領域での測定を試みたためである。