Date: 8月 22nd, 2016
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと
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瀬川冬樹氏のこと(ヴィソニック David 50・その1)

1970年代後半、ミニスピーカーのちょっとしたブームがあった。
アメリカのADC、西ドイツのブラウン、ヴィソニックなどが積極的に製品を出していた。

瀬川先生はヴィソニックのDavid 50を高く評価されていた。
ステレオサウンド別冊「続コンポーネントステレオのすすめ」で、こんなふうに書かれている。
     *
 たとえば書斎の片すみ、机の端や本棚のひと隅に、またダイニングルームや寝室に、あまり場所をとらずに置けるような、できるだけ小さなスピーカーが欲しい。しかし小型だからといって妥協せずにほどほどに良い音で聴きたい……。そんな欲求は、音楽の好きな人なら誰でも持っている。
 スピーカーをおそろしく小さく作った、という実績ではテクニクスのSB30(約18×10×13cm)が最も早い。けれど、音質や耐入力まで含めて、かなり音質にうるさい人をも納得させたのは、西独ヴィソニック社の〝ダヴィッド50〟の出現だった。その後、型番が502と改められ細部が改良され、また最近では5000になって外観も変ったが、約W17×H11×D10センチという小さな外寸からは想像していたよりも、はるかに堂々としてバランスの良い音が鳴り出すのを実際に耳にしたら、誰だってびっくりする。24畳あまりの広いリスニングルームに大型のスピーカーを置いて楽しんでいる私の友人は、その上にダヴィッド50(502)を置いて、知らん顔でこのチビのほうを鳴らして聴かせる。たいていの人が、しばらくのあいだそのことに気がつかないくらいの音がする。
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「私の友人」と書かれている。
実際に友人で、そういう人がいたのだろう。
でも、瀬川先生自身もまったく同じことをやられていた、とつい先日ある方から聞いた。

世田谷に建てられたリスニングルームに移られる前のこと。
瀬川先生のリスニングルームをうかがったら、何も言わずに音を聴かせてくれた。
4343とは思えぬ、いい感じで弦の音が鳴ってきた。
帰り際に、種明かしをしてくれたそうだ。

実は鳴っていたのは4343の上に置いているヴィソニックだった、と。
この話をしてくれた人も、ヴィソニックを買ってしまった、とのこと。

ヴィソニック(Visonik)は、2000年代までは小型スピーカー(Davidシリーズ)を出していたが、
いまはヴィソニックというブランドでは作っていないようだ。

www.visonik.deとURLをブラウザーに直接入力してみると、
AUDIUMというスピーカーメーカーのサイトに行くようなっている。
Davidシリーズは、既にない。

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