マランツ Model 7はオープンソースなのか(その2)
オーディオ機器の中で、オープンソースに成りえるのは、やはりアンプであろう。
スピーカーシステムだとエンクロージュアは木工を得意とする人ならば、
同等かそれ以上のモノをつくれる。
けれどスピーカーユニットはそうはいかない。
細かな仕様まで公開されていたとしても、
個人がその仕様書を見て、同じユニットをつくれるかというと、そうとうに困難である。
フレームはどうするのか、マグネットは……。
振動板は……、そんなことを考えてみると、
スピーカーのオープンソースは難しい、といえるし、
アンプの方がオープンソースに向いている、ともいえる。
ラジオ技術の1949年3月号に、ウィリアムソンアンプの記事が載っている。
Wireless World(1947年4月号、5月号)に発表された記事を元にしたものである。
KT66の三極管接続を出力段に使いながらも、NFBをかけている。
しかもかなりNFB量(20dB)は多いものだった。
記事には回路図やシャーシーに関するだけでなく、出力トランスの仕様まで出ていたそうだ。
いいかげんな出力トランスでは、ウィリアムソンアンプなみのNFBはかけられない。
実際のウィリアムソンアンプにはパートリッジ製が使われていたそうだ。
日本には、その頃ウィリアムソンに使える出力トランスはなかった、と聞いている。
オーディオフェアの第一回開催時に、
山岸無線というメーカーがウィリアムソンアンプ用のトランスを展示しているが、
実はケースだけであり、中身はなかったそうである。
この時代、日本ではウィリアムソンアンプの追試をやろうとしても無理だった。
管球式パワーアンプでは、出力トランスがネックになることがある。
もうひとつの例を挙げれば、マッキントッシュの管球式パワーアンプがある。
当時すでに日本にもマッキントッシュのアンプの情報は入ってきていて、
ずいぶんマッキントッシュ型の出力トランスの試作は行われた、と聞いている。
しかしレアショートの問題があって、同等のトランスはつくれなかった、そうだ。
この話はよく聞いている。
そのころの日本のトランスは絶縁材ひとつとっても、十分な性能・品質でなかった、と。