2016年に考えるオーディオのイノヴェーション(その1)
「2016年に考える」としたのは、
古くからのステレオサウンドの読者ならばわかってくれよう。
1979年3月に発売されたステレオサウンド 50号には、
創刊50号記念特集 オーディオ・ファンタジーとして、
長島先生の「2016年オーディオの旅(本誌創刊200号)」が載っている。
小説仕立ての「2016年オーディオの旅」の主人公はN氏。
ある朝、目が覚めると2016年にタイムスリップしているところから始まる。
37年先の未来について、書かれている。
読みながら、こういう未来が来るのだろうか。
来るとしたら2016年くらいなのか、もっともっと先なのか……、
そんなことも考えながら読んだ。
2016年に鳴っているであろう音を想像しながら、読んでいた。
こういう企画は、誰にでもできるというものではない。
あと数ヵ月でステレオサウンド 200号が出る。
200号に、「2041年オーディオの旅(本誌創刊300号)」が載るだろうか。
誰か、書ける人がいるだろうか。
1979年当時、夢中になって読んだ「2016年オーディオの旅」だから、
このタイトルにしたわけだ。
「2016年オーディオの旅」で書かれていることがどれだけ実現しているのか。
そこまで到っていないこともあれば、はるかに進歩していることもある。
5年くらい先のことなら、予測がそう大きく違ってしまうことはなくても、
20年以上先のこととなると、誰が予測できるだろうか。
それでも2016年のいま、
これから先、もしオーディオになんらかのイノヴェーションがあるのならば、
オーディオにおける最後のイノヴェーションとなるのはなんなのか。
そのことについて考えてみたい。