日本のオーディオ、これから(ブームだからこそ・その3)
CDが出はじめたころ、DDD、ADD、AADという表記がついていた。
Dはデジタル、Aはアナログのことで、
DDDはデジタル録音、デジタルマスタリングによるCD、
ADDはアナログ録音、デジタルマスタリングによるCD、
AADはアナログ録音、アナログマスタリングによるCD。
アナログディスクにはこの種の表記はなかったけれど、
アナログディスクにもアナログ録音のものとデジタル録音のものとがあるから、
AAA、DAA、DDAとやろうと思えば可能だ。
ではDAD(デジタル録音、アナログマスタリングによるCD)と、
ADA(アナログ録音、デジタルマスタリングによるアナログディスク)はあるのか。
理屈でいえば余計な変換が入るだけに音質劣化が予想され、
こんなことをやるレコード会社はないように思えるし、
得られる結果も決して良好ではないだろう、と思われるが、
実際にはCBSソニーは、ブルーノ・ワルターのLPをADAで出したことがある。
CDでも、一旦アナログに戻してマスタリングをして、
もう一度デジタルに変換して制作されたアルバムがある、と聞いている。
いま東洋化成で行なわれていることは、ADAなのか、といえばそうではない。
カッティングマスターテープがつくられる前にマスタリングは終っているのだから、
AAAであるといえるのだが、CD-Rで持ち込まれるため、AADAというべきだ。
東洋化成がなんらかのテープデッキを導入してくれれば、AADAのDはとれる。
現在東洋化成にアナログディスクのカッティング、プレスを依頼するレコード会社のすべてが、
CD-Rでカッティングマスターを持ち込むわけではない。
アナログということにこだわりと誇りをもっている会社は、
カッティングマスターといっしょにテープデッキも持ち込む、ときいている。
けれどそこまでやる会社はどれだけあるだろうか。
ここまでやっている会社でも、すべてのアナログディスクでそうするわけでもないと思う。
アナログディスクのAADAは、いま流行りのハイレゾにも関係してくる。