ピュアオーディオという表現(その4)
ポータブルCDプレーヤーを持っていたこともある。
最初のポータブル機(ソニーのD50)ではなく、
各社からいくつも登場して、電車の中でもよくみかけるようになったころに購入した。
ポータブルCDプレーヤーであれば、
ウォークマンとは違い、CDを買ってくれば(持っていれば)すぐに聴ける。
録音済みテープを自分で制作する手間はいらない。
でも持ち歩くことはほとんどしなかった。
そうなると自然に使う頻度も極端に減ってくる。
2002年にiPodを買った。
カセットテープに録音するよりは簡単に曲をiPodに収録できる。
CDをMacでリッピングしておけば、カセットテープの収録時間を気にすることなく、
どんどん増やしていける。
iPodはポータブルCDプレーヤーよりも小さい。
ポータブルCDプレーヤーはジーンズのポケットには入らないが、iPodはすんなり入る。
ウォークマン、ポータブルCDプレーヤー、iPod。
これらの中ではiPodが持ち歩いた時間が長い。
iPodを手に入れたときは、ウォークマンを譲ってもらったときと同じようによく使っていた。
けれど、自然と使わなくなっていった。
それでも割と持ち歩いていたのは、友人に聴かせたいCDがあるからだった。
そのころアルゼンチンのハーモニカ奏者ウーゴ・ディアスのCDがビクターから発売になった。
ウーゴ・ディアスを知る人は、私のまわりにはほとんどいなかった。
その人たちにiPodでウーゴ・ディアスを、なかば強引に聴かせていった。
聴けば、ほぼみんな驚いていた。
外出先や移動中に自分で聴くためというよりも、
こうやってその時々で、自分でいいと思ったCDを入れていて、友人・知人に聴かせていた。
言葉でウーゴ・ディアスについて語るのも楽しいことだが、
その場で聴いてもらうことには及ばない。
特にハーモニカという楽器に対するイメージは、
日本の場合は小学校の音楽の授業によって形成されているところがある。
それをウーゴ・ディアスの「音」は、いとも簡単に破壊してくれる。
だからみな「すごい!」と驚く。