Date: 2月 29th, 2016
Cate: ステレオサウンド
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ステレオサウンドについて(その21)

ステレオサウンド 45号の特集(44号から続くスピーカーの総テスト)には、
気になるモデルがほぼすべて載っていた。

KEFのModel 105、スペンドールのBCII、タンノイのArden、アルテックのModel 19、ヤマハのFX1、
そしてJBLの4343。
44号と45号、比較するようなものではないのだけれど、
オーディオに興味を持って一年ちょっとの私には、45号に登場するスピーカーの方が興味深かった。

「フロアー型中心の最新スピーカーシステム」のタイトル通りだな、と思いながら読んでいた。
しかも嬉しいことに、フロアー型、ブックシェルフ型だけでなく小型スピーカーも取り上げられていた。
ヤマハのNS10M、JRのJR149、スペンドールSA1、そしてロジャースのLS3/5Aの四機種が載っていた。

何度も読み返した。
記憶するほどに読んでいた。
カバンの中に教科書とともにステレオサウンドをつねに一冊以上入れていた。
すこしでも読む時間があれば、ページをめくっていた。

ステレオサウンドは次号(46号)でもスピーカーを特集している。
モニタースピーカーについて、だ。
三号続けてのスピーカー特集をくり返し読むことで、
スピーカーとはどういうモノなのか、
どういう存在として認識すべきなのかを学ぶきっかけとなった、といえる。

試聴記を、ただ単にどれがいいのか──、
そんな読み方ではないところでのスピーカー独特の面白さを味わえた。
いまのステレオサウンドは、こういう読み方ができるだろうか、とだから思ってしまう。
もしかすると、そういう読み方を拒否しようとしているのだろうか……。

45号の特集の最後に載っていたのはLS3/5Aだった。
LS3/5Aは、42号のアンケートはがき(ベストバイコンポーネントの投票はがき)のスピーカー欄に、
キャバスのBrigantinとどちらを記入しようかと迷いに迷ったスピーカーだ。
これは別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」での井上先生の組合せの影響からだ。

Brigantinは44号にも45号にも載っておらずがっかりしたけれど、46号に登場している。
読み手の勝手な期待を裏切らないところがあった。

そんなLS3/5Aのページを読み終えて数ページの広告をめくる。
すると、そこにはJBLのHarknessがあらわれる。
田中一光氏のリスニングルームに見事におさめられているHarknessは、
特集よりも印象に残っている記事である。

こういう部屋で音楽を聴ける大人になりたいと、ぎりぎり14歳だった私に思わせた。

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