JBLの型番(L250)
1976年の時点で、JBL・4343のコンシューマー用モデルL400が登場する、といわれていた。
実際にL400はプロトタイプがつくられていたことは確認できている。
だが1982年、JBLから登場した4ウェイのコンシューマー用モデルは、L250だった。
なぜ、L250という型番だったのか。
L400は4343のコンシューマー用ということだから、上二つの帯域を受け持つのはホーン型、
けれどL250はコーン型とドーム型のために、あえてL400の型番を避けたのだろう、と思っていた。
L250の前にL212というシステムが1977年に登場している。
記憶されている方は少ないかもしれない。
L212は、いわゆる3D方式のスピーカーシステムだった。
3D方式のスピーカーといっても、いまではどのくらいの人がすぐに理解されるだろうか。
私くらいまでの世代がぎりぎりなのか。
10年ほど前だったか、若いオーディオマニアとの会話で、3Dって何ですか、ときかれたことがある。
そのころでさえそうだったのだから、いまはどうなのか。
3D方式とは、いわゆるセンターウーファーであり、今風にいえば2.1chシステムとなる。
L212は、サイドモジュールとウルトラバスモジュールから構成される。
サイドモジュールが、いわゆる一般的な意味のスピーカーシステムで、
20cm口径ウーファー、13cm口径スコーカー、2.5cm口径ドーム型トゥイーターの3ウェイ構成。
ウルトラバスモジュールは30cm口径ウーファーを搭載。
サイドモジュールが二基、ウルトラバスモジュールが一基のシステムである。
サイドモジュールのクロスオーバー周波数は800Hzと3kHzで、-6dB/oct.のネットワークを使用。
70Hz以下をウルトラバスモジュールが受け持つ。
別項「続・再生音とは……」でピアノロールのレコードについて書くために、
ステレオサウンド 45号を読んでいて、L212のネットワークの仕様に気がついた。
L212も-6dB/oct.だったのである。
L250も-6dB/oct.であり、さらに同時にサブウーファーのB460も登場している。
つまりL250+B460のシステムは、L212のスケールアップモデルといえる。
L250はL212をベースにしているところもある、といえよう。
そうであれば、L250という型番に納得がいく。