使いこなしのこと(調整なのか調教なのか・その1)
オーディオは使いこなしが大事だ、と誰もがいう。
私もいう。
使いこなしについては、これまで書いてきている。
これからも書いていくのだが、
使いこなしは調整とは、必ずしも同じ意味をもつわけではない。
だからこそ、「使いこなし」と「調整」というカテゴリーをわけて書いている。
もちろん同じ意味で使うこともあるし、使いこなしと調整は切り離せるわけでもない。
それでも使いこなしと調整は、微妙に違う。
使いこなしと調整の違いを、もっと端的に言い表せないのか。
そう思っている。
調整に似た言葉として、調教がある。
辞書には、馬、犬、猛獣などを訓練すること、とある。
オーディオ機器は、馬、犬、猛獣の類だろうか。
オーディオ機器はあくまでも工業製品である。
馬、犬、猛獣といった動物とは大きく違う。
それでも、「このスピーカーはじゃじゃ馬だから」という表現が昔からある。
長島先生はジェンセンのG610Bをはじめて鳴らした時の音を「怪鳥の叫び」みたいだ、
とステレオサウンド 61号で語られている。
さらに38号では、
「たとえばスピーカーでいえば、ムチをふるい蹴とばしながらつかっているわけですから」
ともいわれている。
長島先生のG610Bに対する使いこなしは、
調整よりも、調教という言葉のほうがぴったりとくる。