世代とオーディオ(ガウスのこと・その4)
JBLの4350は4ウェイ5スピーカーのシステムで、
フロントバッフルにはウーファー用の開口部が二つ、ミッドバス用が一つ、
ミッドハイとトゥイーターに関してはバッフルの左右どちらにでも取りつけられるように、
計四つの開口部がある。
これにプラス、バスレフのダクトが六つある。
これだけで十四もの穴がフロントバッフルに開けられている。
もっといえばトゥイーターのレベルコントロール用の小さな穴もあるから、正確には十五である。
これだけの開口部をもつ4350のフロントバッフルに、
ガウスのユニットにすべて換装した状態で約18kgの重量がプラスして加わるわけだから、
フロントバッフルの強度について配慮する必要が出てくるだろうし、
フロントバッフルへの荷重が増えたことで振動モードも変化しているとみるべきである。
フロントバッフルの振動モードが変れば、
この影響はエンクロージュアの他の面に対しても波及していく。
フロントバッフルの変化ほど大きくなくとも、
フロントバッフルが振動的に遮断されていないのだから、
対向面のリアバッフルの振動も変化して、他の面に関しても変化していく。
それからシステム全体の重心も、よりフロントバッフル寄りになる。
4350を床にベタ置きしている場合は床への荷重が変化するし、床の振動も変化する。
なんらかの台にのせていたら、台への荷重が変る。
台の上での4350の位置を前後に動かした時の音の変化も、
JBLの純正ユニット装着時よりも大きくなるはずだ。
4350Aのユニットをガウスに換装して、音がどう変化するのかはなんともいえない。
うまくいくのかもしれない。
そうであっても、JBLのユニットよりガウスのユニットが優秀だからとは言い切れない。
スピーカーシステムとして捉えてみると、結局総合的に判断するしかないからだ。
いまはそんなこまかなことまで考えてしまう。
ガウスが登場したころは、こんなことは考えもしなかった。
ただただガウスに換装した4350Aの音を聴きたい、と思っていた。