世代とオーディオ(あるスピーカーの評価をめぐって・その1)
facebook、twitterといったSNSをやっていると、
オーディオのことだけにかぎってみても、あることについてこう思っている、こう感じている人がいることがわかる。
だからこそさまざまな人がいる理由があるわけだし、それを多様性といいかえることもできるのかもしれない。
それでも……、とおもうことがないわけではない。
あるスピーカーシステムについてのことだ。
このスピーカーシステムについて、このことについて書こうと以前から思っていいたが、
そのスピーカーシステムが何であるのか、
その開発者であるのであるのかをふせたまま書くのか、はっきりとさせるのか。
それでためらっていた。
こうやって書き始めたのだから、はっきりと書こう。
そしてはじめにことわっておくが、個人批判や特定のスピーカー批判ということではなく、
どうして、そういうすれ違いが起ったのか、
その理由について書くことは無理かもしれないが、それでもいくつか書いておきたいことがある。
そのスピーカーシステムとは、オンキョーが1984年に発表したGrand Scepter GS1(以下GS1と略す)であり、
その開発者は由井啓之氏である。
由井氏は現在タイムドメイン・ブランドのスピーカーシステムを主宰されている。
由井氏は、GS1は海外では高く評価されたにも関わらず、
日本での評価は不当なものだったといった趣旨のことを何度か書かれている。
それを目にするたびに、そうじゃないのになぁ……、と思っていた。
私は1984年のころステレオサウンドにいた。
だから、その場にいた者の一人としてオンキョーのスピーカーシステムGS1について、
その評価がどうであったのかについて、書いておく。
GS1は、不当に評価されていたのか。
私はそうは思っていない。
ステレオサウンド誌上での評価は、かなり高いものだった。
ステレオサウンド 73号ではComponents of the years賞に選ばれているだけでなく、
さらにゴールデンサウンド賞にもなっている。
ステレオサウンドで、GS1の評価がどうであったのかは、これから詳しく書いていくし、
そのために当時のステレオサウンドを引っ張り出し、いくつかの記事を読み返したが、
私には、由井氏が「日本では不当な評価」だったとされる理由が思い当たらなかった。