Date: 10月 9th, 2015
Cate: 世代
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世代とオーディオ(その11)

別冊FMfan 10号(1976年6月発売)に、「われらエア・チェック族」という記事がある。
瀬川先生を司会に、六人の読者による座談会だ。

以前書いているし、瀬川先生のリスニングルームの写真を見ている人は、
左右のスピーカーの中央にアンペックスのAG440B-2が置かれてあったことを記憶されているだろう。

瀬川先生は、このアンペックスのプロ用のオープンリールデッキで、主に何を録られていたのか。
アンペックスは据え置き型だから、これを外に持ち出して……ということは、まず考えられない。
やはりFM放送の録音なのか。

座談会の冒頭で、ひと頃、いっしょうけんめいにエアチェックをやっていたと発言されている。
     *
あとから聴いてみて、これだけは取っておきたいと思うのは、一年に十本あったかどうか、みたいな気がするわけです。だから、ただ録ってみるだけでは受け身な行為にすぎない。そこでただ単にパシッブなままでいるのか、それとも、よりアクティブな楽しみ方を見つけていくのか、恐らく皆さんは、そのステキな方向を見つけた方々だと思いますが、そこにどういう楽しみ方があるのか、話しているうちに、いろんな話題が出てくることと思います。
     *
FM放送の録音は、どうしてもパッシヴな行為に流れがちである。
どんなに音の良いチューナーを用意し、オープンリールデッキ、カセットデッキを揃え、さらにはアンテナにも十分な配慮をする──、
それでも、それだけではアクティヴな行為とは言いがたい。

そこになんらかの、その人なりの楽しみ方があってアクティヴな行為へとなっていくものだろう。

この座談会が行われた1976年は、ステレオサウンド 38号が出た年でもある。
38号にある瀬川先生のリスニングルームには、パイオニアのチューナーExclusive F3がある。
これでFM放送を受信されていたのだろう。

アンテナは……、というと、フィーダーアンテナだと、この座談会で白状されている。
そういえば菅野先生もフィーダーアンテナだということを、何かで読んでいる。

瀬川先生の当時の住居では、このアンテナでもマルチパスは少なく、感度も十分だったそうだ。
弁解にもなるけれども、とことわったうえで、アンテナは理屈通りにはいかないもので、
やってみてよければ、それでいいと発言されている。

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