Date: 6月 11th, 2015
Cate: 冗長性
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冗長と情調(その5)

ロングアームのことを書いていると、SMEからSeries Vが登場した日のことを思い出す。
別項「SME Series Vのこと(その1)」でも書いている。

Series Vの音に驚いた私は、長島先生に「ロングアームのSeries Vは……」と言ってしまった。
長島先生の返事はこうだった。

「Series Vに不満があるのか」と。
「ありません」と答えた。

不満などまったくなかった。
そのくらいSeries Vに取りつけたオルトフォンSPUは、それまで聴いたことのないクォリティを発揮していた。
それは想像もしていなかったクォリティで鳴っていた。

それでもSeries Vのロングアーム版を望んでいた私には、
12インチのトーンアームこそが標準長のアームであり、
9インチの標準長のトーンアームはショートアームという感覚があったわけだ。
いまもある。

冷静にトーンアームを考えてみれば、
標準長のトーンアームのほうが有利なことが多い。

パイプが9インチと3インチ短くなれば、実効質量は軽くなるし、
同じ材質、同じ肉厚、同じ径であれば、短い方が強度、剛性の面でも有利になる。
どんな材質であれ固有音があり、その固有音はパイプ長とどう関係してくるのか、を考えてみても、
ロングアームは不利である。

けれど「耳」は、ロングアームを求める。

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