建造物としてのアナログプレーヤー(その5)
ゲイルGT2101の振動実測データをみると、やっぱりな、と多くの人が思うことだろう。
「プレーヤー・システムとその活きた使い方」は、
当時の日本ビクターの音響研究所長の井上敏也氏の監修によるもので、
多くの実測データはビクターによる測定である。
Galeでのハウリングの実験とついている章では、ふたつの実装データが載っている。
ひとつは、ターンテーブルプラッター外周に三つあるレコードを支持する箇所に、
カートリッジを降ろしての測定、
もうひとつはレコード支持部間にカートリッジを降ろしての測定である。
つまりレコードが浮いている状態の測定となる。
レコード支持部での結果は25Hzにピークがあるがそれもそれほど大きくはない。
それ以上の周波数ではかなり低く抑えられていて、かなり優秀な特性を示している。
レコードが支持部から離れて浮いている状態だとどうなるのか。
21Hzと50Hzに大きなピークがある。
60Hz以上の周波数ではうねりが見られ、
あきらかにスピーカーからの音圧によってレコードが揺すられていることがわかる。
その状態であっても、マグネフロートが効果的に働いているのか、
アクリルというベースの特質なのか、面積をできるだけ抑えたベース形状のおかげなのか、
ハウリング特性は優秀である。
レコードを浮すと音が大きくなる、という人がいる。
カートリッジは振動を電気信号に変換するものだから、
レコードそのものがスピーカーからの音圧でゆすられ振動が大きくなっているのだから、
その振動も含めてカートリッジはピックアップして電気信号へと変換するのだから、
音が大きくなって当然といえよう。