私的イコライザー考(音の純度とピュアリストアプローチ・その6)
グラフィックイコライザーは、その評価がほかのオーディオ機器よりもはるかに難しいところをもつ。
グラフィックイコライザーの使用を強く薦める人がいる。
その人が書く文章を読んで、グラフィックイコライザーに興味をもつ人がいる。
数人だが、グラフィックイコライザーの使用を強く薦める人のところに連れていったことがある。
みんな期待していた。
使いこなしは難しいかもしれないが、
きちんと使いこなすことで、どれだけのものが得られるのか。
それを知りたがっていたし、自分の耳で確認したかったのだと思う。
グラフィックイコライザーにはON/OFF機能があるから、
簡単にグラフィックイコライザーを調整した音とそうでない音を切り替えられる。
当然のことだが、グラフィックイコライザーの使用を強く薦める人は、
自信をもって切り替え操作を行ってくれる。
帰途、彼らは「グラフィックイコライザーの使いこなしって、ほんとうに難しいんですね……」といった。
あれだけ積極的にグラフィックイコライザーを使ってきた人でも、あのレベルなのか、という落胆からであった。
私が連れていった数人は、彼のところではグラフィックイコライザーなしの方がいい音だと感じていた。
このことはグラフィックイコライザーの調整が難しいということとともに、
グラフィックイコライザーの使い方に関する問題も含んでいる。
私はグラフィックイコライザーにこれから取り組もうという人には、
楽器の音色の違いがより自然に再現されることを目指して調整したほうがいい、という。
私がこれがグラフィックイコライザーの使い方だと考えているからだ。
だがグラフィックイコライザーの使用を強く薦める人は、そうではなかった。
彼好みの音にするための道具としてのグラフィックイコライザーの使い方だった。
そんなふうに使うのはまったく認めないわけではないが、
誰かにグラフィックイコライザーの使用を薦めるのであれば、そうではないだろう、とひとこといいたくなる。