「スピーカー」論(ピストニックモーションにまつわる幻想・その1)
ソニーのマイクロフォンの広告からエレクトロボイスのことを思いだし、
エレクトロボイスといえば、フェノール系のダイアフラムのことを私は連想する。
アルテックにしろJBLにしろ、
ウェスターン・エレクトリック系のコンプレッションドライバーのダイアフラムは金属である。
JBLのドライバーにも、フェノール系のダイアフラムのモノはあった。
2470、2482などがそうである。
だがこれらのドライバーはPA用に使われることが多く、
スタジオモニター、家庭用のスピーカーでは使われていなかったし、
JBLのコンシューマー用ドライバーにはフェノール系のダイアフラムのモノはない。
そのため、どうしても金属系のダイアフラムの方が音のクォリティは上で、
フェノール系は下にみられることもある。
それにコンプレッションドライバーのダイアフラムとして使われ、
ピストニックモーションの範囲内でしか使わないのであれば、
ダイアフラムの材質固有の音はしない、という意見もある。
そう主張する人たちは、フェノール系よりも金属系のほうがピストニックモーション領域が広い、
なのでフェノール系のダイアフラムを使う意味はない、ということになるらしい。
だが、そう言い切っていいのだろうか。
ほんとうにピストニックモーションの帯域においては、
ダイアフラムの材質固有の音はしない、と言い切れるのか。