Date: 2月 28th, 2015
Cate: prototype
Tags:

prototype(その7)

ダイヤトーンの水冷式のパワーアンプの次に思い出すのは、
ビクターのスタンダードスピーカーシステムである。

このスピーカーシステムは、ステレオサウンド 50号、
岡先生による「オーディオ一世紀 昨日・今日・明日」で取り上げられている。

エンクロージュアの回折効果の影響をなくすために、卵形をしている。
ユニットはコーン型の円錐状の部分を発泡樹脂で充填した平面型の3ウェイ構成。
ウーファーは21cm、スコーカーは5.7cm、トゥイーターは2.6cm口径。

同じ構造の平面型スピーカーはKEFが1960年代に採用しており、
Lo-DもHA10000で同じ構造のユニットを全面的に採用している。

HS10000は平面バッフルに装着しての使用を前提としているのに対し、
ビクターのプロトタイプは、卵形のエンクロージュアが示すように4π空間での設置前提という違いがある。

それからHS10000はスーカーシステム単体として市販されたが、
ビクターのプロトタイプは専用アンプ内蔵の、いわゆるアクティヴスピーカーである。

3ウェイのマルチアンプ構成で、すべてのアンプは定電流駆動、さらにウーファーに関してはMFBもかけられている。
クロスオーバー周波数は550Hz、2kHzで、
デヴァイディングネットワークの前段でディフラクション補正を行っている。

ビクターの発表資料によると卵形エンクロージュアのディフラクションのグラフをみると、
500Hzあたりからなだらかに低域にかけて減衰していく。
この減衰カーヴと反対の特性の補正をかけることで、システム全体の周波数特性をフラットにしている。

ビクターのプロトタイプが登場したころ、
フィリップスは小型スピーカーにMFBをかけたシリーズを製品化していたし、
テクニクスはリニアフォースドライブスピーカーという技術を発表していた。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]