Date: 1月 25th, 2015
Cate: 単純(simple)
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シンプルであるために(ミニマルなシステム・その12)

D/A変換を行うLSIは、電流出力型が多い。
そのためアナログ回路はI/Vコンバーターと呼ばれる電流入力型となっている。
Iは電流、Vは電圧を意味している。

出力で電流であるならば、その出力に抵抗を一本おくだけでも電圧変換はできる。
電流×抵抗=電圧だからである。
この抵抗にコンデンサーを並列に接続すれば高域においてインピーダンスが低下していくため、
ハイカットフィルターを形成することもできる。

D/Aコンバーターの自作例にも抵抗によるI/V変換は見られるし、
いまはどうなのかわからないが、昔はメーカー製にもそういう仕様のモノがあった。

一般的にI/V変換は、反転アンプで行う。
それも入力抵抗を省いた反転アンプである。
I/V変換というくらいなので、この回路は電圧増幅である。

ワディアのPower DACはこのI/V変換を、いわばI/W変換といえる回路構成にしている。
Iは電流、Wは電力となる。

こうすることでデジタルだけの再生であればシステム全体の構成を簡略化できる。
ずいぶんな簡略化である。

ただこのままではレベルコントロールができないため、
デジタル信号処理によるレベルコントロールを行う必要があり、そのための回路もいる。

とはいえ、システム全体の簡略化ははかれる。
そうすれば、ミニマムなシステム展開をワディアはやろうと思えばやれた。

だがワディアは、それを目指していたように感じられない。
別項で書いているLINNがEXAKTで提示してきたところを、ワディアも目指していたのではない。

いまのワディアに関してはわからないが、
少なくともPower DACを開発していたころのワディアは、
LINNとは違うところをPower DACで目指していたはずだ。

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