シンプルであるために(ミニマルなシステム・その10)
ノイズ対策を徹底化することは、現代オーディオ機器の必須条件ともいえる。
内部、外部両方からのノイズに対して、どう対処するのか。
完全にノイズを遮断することは、オーディオ機器だけでは不可能である。
ゆえにノイズを遮断しながらも、それでも混入してくるノイズを除去するとともに、
あるレベルではノイズとうまく共存していく方法をさぐっていく必要もある。
Wadia 790の筐体内にある五基のトランスは、
ステレオサウンド 133号の三浦孝仁氏の解説が正しければ、
コントロール系、D/Aコンバーターのデジタル部、D/Aコンバーターのアナログ部、
ドライバー段、出力段で電源トランスは独立していて、八基のチョークコイルも採用されている。
三浦孝仁氏の解説では、チョークインプットコイルとなっている。
これは技術的にはおかしな表現である。
チョークコイルを採用した電源方式には、
コンデンサーインプットとチョークインプットのふたつがある。
チョークインプットコイルと書いてしまうと、
部品の名称と平滑方式の名称をいっしょくたにしてしまっている。
それから三浦孝仁氏は「PA85というAPHEX社製のディバイス」と書かれているが、
APHEXではなくAPEXである。
おそらくワディアの当時の輸入元であったアクシスからの資料をそのまま引用されたためであろう。
話がそれてしまうが、ステレオサウンド 133号の奥付をみると、
編集長、編集デスクをふくめて、編集者は五人いる。
誰も、この間違いに気がつかなかったのだろうか。
輸入元の資料だから、と鵜呑みにしてしまったいたのだろうか。
APHEXかAPEXかは、調べればすぐにわかることである。
133号は1999年12月発行で、いまほどインターネットが普及していないとはいえ、
技術に多少なりとも詳しい人が編集部にひとりいれば、わかったことである。
ステレオサウンドは100号で、Wadia 5の見出しに、
ワディアが放つエポックメイキングな新カテゴリー、
と書いている。
ステレオサウンドのワディアのPower DACへの監視の高さは、133号の記事でもうかがえる。
だから十分なページ数を確保しての記事となっているにも関わらず、細部の詰めがあまさがどうしても気になる。