Date: 11月 26th, 2010
Cate: 真空管アンプ
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真空管アンプの存在(その76)

きちんとした定電流点火の音を聴くと、
三端子レギュレーターによる安易な直流点火に疑問を抱く。

定電圧点火にすれば、真空管の寿命も短くなる。
しかも音もいいとはいえない。ハムをわりと簡単におさえられる、という以上のメリットは感じられない。

そんな点火回路を、「遅れてきたガレージメーカー」のつくる真空管アンプの多くは採用していた。
増幅回路には工夫を凝らしたものでも、ヒーターの点火に関しては、じつに安易というアンバランスを感じていた。

真空管アンプを作ったことのない方は、ヒーターの点火方法によって、
それほど大きく音が変化するものだろうか、と思われるかもしれない。
こればかりは実際に音を聴いていただくしかないし、その手間がかなりめんどうなのが、もどかしい。

たとえば伊藤先生のコントロールアンプは電源トランスを2つ搭載している。
ひとつは高圧用のもの、もうひとつはヒーター用のトランスである。
真空管のプレートにかかる電源は高圧・低電流、一方ヒーターは低電圧・高電流、と正反対である。
しかも実際に消費電力を計算してみるとわかるが、ヒーターの消費電力の方が大きいからだ。

真空管アンプの回路を勉強したてのころは、どうしても増幅回路のほうにばかり目が行きがちだが、
あるレベルになればヒーター回路にも注意が向く、というか、
むしろ、こちらのほうに先に興味が向くようになるかもしれなくなる。

マランツ、マッキントッシュの真空管アンプが全盛だった時代、
TL431はもちろん、三端子レギュレーターもなかった。
#7やC22はどうしていたのか。同時代のQUADの22はどうだったのか。

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