オーディオ機器を選ぶということ(その12)
オーディオのシステムは、ひとつのモノだけでは成りたたない。
どんなに優秀なスピーカーシステムを手にいれたとしても、それだけでは音は出ない。
あたりまえすぎる話だが、アンプが必要になり、CDプレーヤーなりアナログプレーヤーも要る。
すくなくともこの3点が揃わなければ、音は出ない。
いま日本で入手できるそれぞれの数はいったいどのくらいあるのだろうか。
オーディオマニアを対象にしたモノにかぎっても、かなりの数となり、
それらの組合せとなると、たいへんな数だ。
それに実際のオーディオマニアは、なにも現行製品ばかりでシステムを組んでいるわけではない。
ずっと愛用してきた、すでに製造中止になって久しいモノもある。
それに自作のモノもある。
そうなると、この日本だけに限っても、そのシステムの多彩さは、いったいどれだけの幅があるのだろうか。
そして、そこに部屋(リスニングルーム)が加わる。
同じ装置、同じ部屋が存在していてとしても、鳴らす人が同じでなければ、同じ音は出ないのが、オーディオである。
システムが違い、部屋が違い、人も違う。
人の数だけ、同じレコードが、それぞれの音で鳴っている。
この事実は、つまり万人のための音はありえない、ということでもあるはずだ。
「万人のための音」を英訳しろといわれたら、
多くの人が、おそらくユニバーサルサウンド(universal sound)と答えるだろう。
だが、ユニバーサルサウンドを、万人のための音、と訳していいのだろうか。