サイズ考(その15)
クレルのPAM2とKSA100が印象ぶかく記憶に残っているのは、音だけではなくて、
独特の処理による、シルクのような白い質感のフロントパネルと、
クレルのブランドロゴを刻んだ金属プレートとマイナス・ビスの金色、
この対照的な金属の組合せが醸し出す雰囲気は、クレルの音そのものだった。
金色のプレートはその後も変らなかったが、
シルクの質感に近いパネル処理は、しばらくしてなくなり、青色になったり、
また白にもどっても、初期のパネルとは違う質感だったりと、入荷の度に変わっていた。
のちにわかったことだが、初期のクレルのパネルの処理は、ある職人ひとりの技術で、
誰にもマネできないものだったのが、
その職人の死により、技術そのものが消えてしまったときいている。
同じ質感を再現しようと、かなりの試行錯誤をくり返したが無理だったらしい。
クレルのパワーアンプのラインナップは、KSA100(100Wのステレオ機)のほかに、
KSA50(50Wのステレオ機)とKMA200(200Wのモノーラル機)から成っていた。
これと同じといえるラインナップを揃えていたのが、スレッショルドであり、
STASIS1、STASIS2、STASIS3の3機種だ。
STASIS1がトップモデルで、これだけがモノーラル構成、STASIS2が中堅モデルで、
STASIS3はもうすこし規模が小さくなる。
型番が示すように、3機種ともSTASIS(ステイシス)回路を採用している。