電子制御という夢(その20)
ソニーは電子制御のトーンアームをバイオ・トレーサーと呼んでいた。
ソニーからやや遅れてビクターも、電子制御トーンアームを発表した。
ビクターはED(electro-dynamic)サーボと呼んでいた。
ビクターの電子制御トーンアームは、ソニーのバイオ・トレーサーと形状は異るが、
複数のセンサーをもち、垂直・水平、ふたつのリニアモーターをもつのは共通している。
ステレオサウンド 53号のビクターのQL-Y7、QL-Y5の広告には、
EDサーボ・トーンアームの分解図が載っている。
EDサーボ・トーンアームは従来のトーンアームの軸受け右側に、
垂直方向の電子制御のための機構を後付けしたような感じがしている。
水平方向のための機構は、トーンアームの下部にある。
センサーは垂直速度、水平速度、位置、高さを検出している。
プロセッサーについての記述はないが、
ソニーのバイオ・トレーサーに使われているものと性能的に大差はないはずだ。
ソニーはバイオ・トレーサーの特徴として、
最低共振周波数のピークを3dB以内に抑制
徹底したフロントオペレーション
機械的なインサイドフォースキャンセラー、カウンターウェイトの除去
この三点をあげている。
ビクターのEDサーボにはカウンターウェイがあるのが、ソニーと異るが、
電子制御の特徴として挙げているのはソニーとほぼ同じである。