妄想組合せの楽しみ(その28)
パラゴンに関心のある人ならば、いちどは夢想したであろうことは、
デジタル信号処理によって、3つの各ユニットの時間差を補整することだろう。
トゥイーターの075とミッドレンジの375はわりと近接した位置にあるが、
ウーファーのLE15Aだけは奥まったところにあり、しかもユニットそのものを外側から見ることは無理である。
井上先生は、パラゴンはへたに扱うと(下手なアンプと組み合わせると)、
八岐大蛇の声みたいなになる、と言われていた。
パラゴンの存在を頭から認めない人は、この構造、とくにウーファーの位置について、とやかく言う。
言われなくて、そんなことは、パラゴンに関心のある人はわかっている。
わかったうえで、パラゴンに対して、つよい関心をもち続けているのだから。
ウーファーの時間差だけ解消できれば、パラゴンの3つのスピーカーユニットの配置は、
仮想同軸型ともいえるわけで、そのメリットが存分に生きてくる……、誰しもそう考える。
昔は夢物語に近かったこのことも、いまではマルチアンプ駆動にして、
デジタルプロセッサーを導入すれば、実現できる、そういう時代にきている。
しかもそのための選択肢も、いくつかある。
でも、私の性格がアマノジャク的なところがあるのか、そうなるとあえて、そういうことはせずに、
内蔵ネットワークで、あえて鳴らしてみたい、と思うようになる。
パワーアンプ、1台でも、素晴らしい音で鳴る可能性をっているのがパラゴンなのだし、
瀬川先生が耳にされたパラゴンの素晴らしい音は、マルチアンプ駆動の音ではない、
岩崎先生もパイオニアのM4、1台で鳴らされていた。
なにかひとつのリファレンスとして、
パラゴンを上記のようにマルチアンプにして時間差を補整して鳴らすのは、ひじょうに興味がある。
いちどはぜひ聴きたい、とつよく思う。
けれども、自分のモノとしてパラゴンを鳴らすのであれば、この手段はとらない。