Date: 10月 5th, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)
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ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その5)

JBLの4311の前身モデルとして4310がある。
ステレオサウンド別冊「JBL 60th Anniversary」によれば、4310は1968年に登場していることがわかる。

この時は、まだJBLのスタジオモニターであることを表す「4300」のモデルナンバーはつけられていなかった。
同時に登場した4320が、その前身であるD50の型番で発表され、4310はJBL Control Monitorと、型番なしに近い。
どちらも正式に4300シリーズとしての型番が与えられたのは、1971年だ。

4310を担当したエンジニアはエド・メイ。
エド・メイに求められていたのは、
当時スタジオモニターとして標準スピーカーシステムとなっていたアルテックの604の音を模倣することだった、
と「JBL 60th Anniversary」に書いてある。
しかも小さなサイズで、である。

ここでいうアルテックの604とは、いわゆる銀箱のことである。
612と呼ばれた、このスピーカーシステムは、「JBL 60th Anniversary」には、
「少しも正確な(accurate)ではなかったことである。
中域には明らかにピークがあり、高域のレスポンスは著しくロールオフしているからである。」とまで書かれている。

つまり、こういうスピーカーの音を模倣するということは、
4310というスタジオモニターは、正確さを目指したスピーカーシステムではなかった、ということになる。

そして、このスピーカーシステムがJBLのスピーカーの中で、いちばんのロングランモデルとなり、
現在も4312Eが作られ続けれられている。

いわば異端児として生まれた4310だからこそ、生き残っている、ということになるのではないか。

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