名器、その解釈(Technics SP10の場合・その5)
原器という観点からテクニクスのオーディオ機器をふり返ってみると、
名器かどうかという観点にしばられていたときには見えてこなかったものがみえてくるものがある。
1977年にテクニクスはSU-A2というコントロールアンプを発表した。
外形寸法W45.0×H20.5×D57.4cm、重量38.5kg、消費電力240Wという、
プリメインアンプよりも大きな筐体のコントロールアンプだった。
価格は1600000円。このころマークレビンソンのLNP2Lは1280000円だった。
国産と輸入品ということを考えれば、もっとも高価なコントロールアンプでもあった。
SU-A2には、コントロールアンプとして考えられる機能はすべて搭載されている、
そう断言できるほど、各種機能が搭載されている。
SU-A2を最初見た時、テクニクスがヤマハのCIに対抗するコントロールアンプを出してきた。
そう思った。
CIも多機能のコントロールアンプを代表する存在だった。
CIが登場した時とSU-A2が登場した時とでは、状況が変化していた。
マークレビンソンのJC2の登場により、国産のコントロールアンプは薄型になり、
トーンコントロールやフィルターといった機能を省く設計のものが増えていた時期でもある。
そこにテクニクスが分厚く多機能なコントロールアンプを投入した。
このSU-A2を、私はヤマハのCIとの比較で捉えてしまった。