チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その15)
パイオニアのチューナー、Exclusive F3の外観で特徴的なことは、
メーターが四つついていることがあげられる。
Exclusive F3登場以前、Exclusive F3と同等クラスのチューナーをみても、メーターは二つ。
電波の強さを示すシグナルメーター、同調の具合を示すチューニングメーターである。
Exclusive F3には、この二つのメーターのほかに、マルチパス検出メーターとピークレベルメーターがついている。
この四つのメーターをダイアルスケールの上部に配置している。
Exclusive F3が登場した1976年当時、
ダイアルスケールとメーターの位置関係は、
多くの機種においてダイアルスケールが上、メーターが下、
もしくはダイアルスケールとメーターを同じ高さに配置するかだった。
Exclusive F3を実際に使っていて気がついたことなのだが、
ダイアルスケールとメーターの位置関係は、メーターが上の方が使い勝手がいい。
フロントパネルを占める大きさでいえばダイアルスケールが主であるかのように感じてしまうし、
Exclusive F3以前に使ったことのあるトリオの普及機(これはメーターが上にある)、
マッキントッシュのMR71はダイアルスケールが上にある。
このときはダイアルスケールとメーターの位置関係に関心をもつことはなかった。
Exclusive F3で私は初めてメーターとダイアルスケールの位置関係について、
関心をもつようになった。トリオの普及機もメーターが上にあったけれど、
最初に使ったチューナーということもあって、そんなことには気づきもしなかった。
40年近くオーディオをやってきて、使ってきたチューナーはわずか三台。
しかもチューナーが手元にあった期間はかなり短い。そんなわけでいまごろ気づいている。
チューナーにおいてダイアルスケールよりもメーターの方が主ではないか、ということ。
バリコンを使用したアナログ式チューナーにおいては、目はメーターの方に向くからである。