世代とオーディオ(JBL 4301・その7)
ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
瀬川先生は予算30万円の組合せでJBLの4301を使われている。
アンプはサンスイのAU-D607、アナログプレーヤーはKP7600、
カートリッジはエレクトロアクースティック(エラック)のSTS455Eで、組合せトータル価格は298700円。
「コンポーネントステレオの世界 ’79」は1978年12月ごろに出ている。
すでに4301の価格は円高のおかげで安くなっていた。
だから30万円という予算で組合せが可能だった。
この組合せの記事を読んで、また思ってしまった。
もう少し早く4301が安くなっていたら……。
しかも瀬川先生はJBLのL40は「爽やかな感じが強いスピーカー」で、
4301は「そのなかにどこかしっとりとした感じを聴かせる」スピーカーだといわれている。
4301とAU-D607、それにSTS455E。
いい組合せだと思う。けっして乾きすぎない音を聴かせてくれるはずだ。
4301の価格改定が、1978年の春であったなら、
そして「コンポーネントステレオの世界 ’79」が出ていたら、
瀬川先生の組合せそのままが、私の最初の本格的なオーディオ・コンポーネントになっていたかもしれない。
4301にしていたら、聴く音楽のジャンルも違っていたように思う。
それに「コンポーネントステレオの世界 ’79」では、
予算30万円から予算60万円にステップアップする組合せもある。
4301の組合せを60万円の予算にステップアップする組合せはなかったけれど、
ほかの組合せ例をみていて考えていたのは、
4301を買って、次のステップとしてウーファーを追加するという手である。