ラックのこと(その10)
ヤマハのGTR1Bには脚と呼べるものがない。
底板がそのまま床に触れている。
そのため床の条件によっては、どこかすこし浮きがちになる。
これをそのままほっておくわけにはいかない。
せっかくの重量級のラックがガタついていては、あえてGTR1Bを使う意味が薄れてしまう。
ガタツキを簡単にとる方法は浮いている箇所にクサビ状のものを挿し込む。
ガタツキはこれでとれるけれど、
このクサビにどういった材質のものを使うのか、
それにクサビをいれても、浮いている面積が広い場合は、
床とGTR1Bの底板との間に、わずかな隙間が生じてしまう。
そうなると底板が床とべったり接している部分と隙間が生じている部分、クサビを介して接している部分とができる。
これはけっして望ましいとはいえない。
そうなると……、と頭を使う。
こうやってGTR1Bにしても、ただポンと床に置いて、
そのGTR1Bの上にまたポンとオーディオ機器を置くのと、
これまで書いてきたこと、また書いていないことも含めて、
きっちりとセッティングしたのとでは、結果として出てくる音に差が生じるのは当然のことである。
これらのことをラックの使いこなしと書いてしまうと、
少々おかしなことになるが、GTR1Bに限らず、世評の高いラックを購入したからといって、
それだけでうまくいくわけがないことは、私があえて書くまでもないことのはずだ。