オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(300Bのこと・その6)
ステレオギャラリーQの300Bシングルアンプの登場から、
日本ではときどき300Bのアンプが製品化されてきた。
多くの人が記憶しているところではラックスからMB300という、
300Bシングルのモノーラルパワーアンプが出たこともある。
1984年ごろである。
300Bを、口の悪い人のあいだでは鳥カゴと呼ばれていた保護カバーで覆っていた。
これも電取法(電気用品取締法)のためである。
このころは300Bのアンプが出たことだけで話題になっていた。
いまではいくつかのメーカーから300Bを使ったアンプが登場してきていて、
300Bのアンプということだけでは、あまり話題にならなくなっている。
昨年、ウエスギから300Bのシングルアンプが登場した。
2013年のステレオサウンドグランプリに選ばれている。
いま書店に並んでいるステレオサウンド 189号で、
ステレオサウンドグランプリの座談会のまとめが読める。
ここに、300Bの一般的な音として、楚々としてやや細め、といった表現が使われている。
この表現そのものを問題としたいわけではない。
そういう音を出す300Bシングルアンプは、意外にも多いといえるのだから、
これまで市販された300Bシングルアンプの音を聴いてきて、そう思い込んでしまっても不思議ではない。
これが新製品紹介のページで、こういう表現が300Bシングルアンプに使われても、
わざわざここで取り上げたりはしない。
取り上げた理由は、座談会だから、である。