ラックのこと(その2)
1982年あたりごろから、使いこなしのうえでいくつかの変化がはっきりとあらわれはじめてきた。
スピーカーの設置でも、それまでは部屋のどこに置くのか、スピーカーの振りの角度はどうするのか、
といったことに加えて、置き台に対する関心が増してきて、
たとえばフロアー型システム用として、
ダイヤトーンからDK5000という良質の木材のキューブが製品化されたし、
ブックシェルフ型システム用としては、スタンドの比重がそれまでよりもずっと大きくなっていった。
それまでのブックシェルフ型用のスタンドといえばキャスター付の鉄パイプ製が大半だった。
パイプを叩けばカンカンと響く。
しかも形状が横からみるとコの字型をしており、強度も十分だったとはいえなかった。
それが木製のスタンドが登場しはじめ、
ブックシェルフ型スピーカーが重量を増していく傾向とともに、
スタンドもよりしっかりしたものになっていく。
構造も材質も吟味されるようになった。
小型システム用のスタンドとなると、自分でなんとかするしかなかったのが、
イギリスでは専用スタンドがついてくるモノがあらわれはじめ、
日本よりもイギリスの方が小型スピーカー用スタンドは数が多かった、と記憶している。
置き方による音の変化の問題は、
スピーカーだけにとどまらず、そのころ登場したCDプレーヤー、それにアンプでも、
少しずついわれるようになってきた。
そうなるとラックの重要性が増しはじめたころに、タイミング良く登場したのが、
ヤマハのラック、GTR1Bだった。
50mm厚の板を使った四角い箱である。
前後は開放で、重量は33kgという、しっかりしたラックというよりも、箱だった。