趣味のオーディオとしてのカタチ(その3)
私が初めて買ったステレオサウンドは41号と、
同時期に発売になった「コンポーネントステレオの世界 ’77」の二冊。
41号の表紙はJBLの4343、「コンポーネントステレオの世界 ’77」の表紙はアルテックの601だった。
どちらも正面から撮った写真だった。
正直に書けば、最初は604だと勘違いしていた。
けれど、ホーンの感じがなんとなく違うことに気づいて、
あれこれ調べて601-8Eだと気づいた。
表紙の4343を見て、かっこいいと感じた。
表紙の601を見て、4343に感じたかっこいいとは違う意味で、いいカタチだ、と思っていた。
そのころまでのホーンは指向性の改善のためにマルチセルラホーンだったり、
ホーン内部にフィンが設けられてたり、開口部に音響レンズが取りつけられたしていた。
理論上ではホーン内部や開口部に何かがあるのはマイナスとなる。
604のマルチセルラホーンにしても、指向性の改善であっても、
高い周波数では指向性がヤツデ状になるという面もある。
604をベースにしたUREIのシステムでは、
マルチセルラホーンを独自のホーンにつけ替えている。
604も604-8H以降はマンタレーホーンに変更されている。
伝聞ではあるが、ハーマンインターナショナルでは、
JBLに対して4343の後継機をつくってほしい、と希望した、と。
それもスタイルは4343と同じ。つまり音響レンズ付で、ということだったらしい。
JBLは、音響レンズつきのホーンはホーンの理論から外れている。
だから音響レンズつきのホーンを採用したシステムはつくらない、ということだった。
10年近く前にきいた話で、どこまでほんとうなのかはわからないけれど、
JBLが音響レンズつきのホーンをつくらない理由は、納得できる。
音響レンズつきのホーン、マルチセルラホーンは、もう旧い時代(理論)のホーン、
2397ですら、おそらくそういうことになっているはず。
そんなことはわかっている。
それでもアルテックの604を正面からみれば、いいカタチだと思うのだ。