マルチアンプのすすめ(その18)
アルテックの604に限らず高域用にホーン型を採用した同軸型ユニットであれば、
ウーファーのボイスコイル位置よりも、
かなり奥まったところにドライバーのボイスコイルが位置するわけで、
このふたつのボイスコイルの距離分だけの時間差が発生する。
この問題をUREIの813は、以前書いているように内蔵ネットワークで解決している。
813が登場したときは、ネットワークがどういう構成なのか皆目見当がつかなかったけれど、
あれから30年以上経っているいまでは、技術的な知識もあるし、
インターネットで813のネットワークの回路図も手に入れることができ、
こうやっていたのか、と疑問はなくなっている。
813の回路図を利用してネットワークを自作して、試行錯誤してみるのも、
オーディオマニア的には充分に楽しいことではある。
けれどデジタル信号処理のデヴァイディングネットワークを用意して、
マルチアンプ駆動した方が、手間もかからない、といえよう。
それにネットワークを自作した場合、一回でうまくいくという保証はどこにもない。
何度か試作を重ねれば、そこにかかる費用の面でも、
マルチアンプのほうが有利になることだってある。
それにデジタル信号処理のデヴァイディングネットワークを使う方が、
ネットワークでは無理な細かな時間差の補整も可能になる。
アルテックの604の、こういう使い方は実際にやられている人はすでにおられる。
では、同じ同軸型のタンノイのユニットで、同じことをやるのか、と問われれば、
これはやらない、と即答する。