程々の音(その2)
「Sound Space サウンド・インテリアの楽しみ/スピーカー・セッティングと室内デザイン」
この長いタイトルがつけられている記事は、斉藤義氏による。
斉藤氏はステレオサウンドで「サウンド・スペースへの招待」を毎号執筆されている方。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」に載っている、この記事には8つの例が提示されている。
多摩プラーザの家「ナチュラルな空間・ナチュラルな響き」
清瀬の家「ホワイト・アブストラクト」
玉川学園の家「くつろぎの城」
V・ハウス「ビルト・インの手法」
梶ヶ谷の家「ヨーロッパ的なセンス」
矢崎さんの家「……しながらの音」
船の家「サウンド&ヴィスタ」
「ウィークエンド・サウンド」
13歳の中学二年の私は、どの部屋も憧れをもって眺め読んでいた。
どの部屋も、あれこれ妄想・夢想させてくれるだけのものであったけれど、
その中でも、清瀬の家、玉川学園の家、V・ハウス、梶ヶ谷の家は、印象深く残っている。
清瀬の家は、白を基調とした部屋で、天井の形状が階段状になっていて、家具はハーマンミラー、
オーディオはJBLの4343(それもグレーモデル)に、マークレビンソンのLNP2とSAE・Mark2500。
明るい陽射しによって照らされている、この部屋の雰囲気は4343のための部屋のように思えた。
この部屋には、ステレオサウンドにいたときに、伺うことができた。
まったく、この部屋だということを知らずに、そこに伺った。
入った瞬間、すぐに、あの部屋だとわかった。
ただスピーカーは4343ではなく、タンノイ・アメリカだった。
そう、この清瀬の家は、ステレオサウンドの表紙を撮影されていた安齊吉三郎氏の部屋だったのだ。