終のスピーカー(JBL 2397+2441・その3)
私にとってのJBLといえば、1970年代までのJBLが、まず第一にくる。
パラゴンやハークネス、ハーツフィールドといったコンシューマー用のスピーカーシステム、
4300シリーズのスタジオモニター、
そして数々のユニット群、その中でも四桁ナンバーであらわされるプロフェッショナル用ユニット、
とにかく、JBLといえばこれらのことが、なんといってもJBLである。
このときまでが、JBLのピークのひとつだったように感じている。
だから、この時代のJBLと縁がなく人生をおくってきた私は、
少なくとも、現代のJBLとは縁があるかもしれないけれど、
私にとってのJBL、といえる時代のJBLとは縁がないものだ、と思うようになっていた。
それでもD130への想いは、
40をすぎたころから芽生えはじめ、「異相の木」として意識しはじめたことで、
D130だけは、いつかは自分のモノとしたい、そう思うようになっていた。
とはいえD130もとっくに製造中止になっているユニット。
未使用品が手に入る可能性はないわけでもないだろうが、
そういうものはいまどきではかなりの値がつく。
想いはつのっていっても、手にすることはたぶんないだろう、ともなかば諦めの気持もつのっていた。
そんなときに「Harkness」が私のところに来た。
D130が入っている、岩崎先生が鳴らされていたハークネスである。
今日、私のところに2397と2441が来たのは、
「Harkness」が呼んできたようにも感じている。
私のところに、JBLのモノが何ひとつなかったら、
今日、ここに2397と2441はやって来なかった気がする。
JBLがJBLを呼んだ。
こういう縁は、ほんとうに趣味の醍醐味のひとつであるはずだ。