オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(真空管アンプのレイアウト・その5)
伊藤アンプのシャーシーの厚みは5cm。
この5cmの鉄製のフレームの上にアルミの板がのり、
アルミに真空管、トランス、コンデンサーなどが取り付けられる。
アンプによっては入出力端子も、このアルミに取り付けられることがある。
トランス類は基本的に後方に、
トランスを背にして真空管が配置される。
出力管の周囲には放熱用のための小穴が開けられている。
ステレオアンプでは出力管の手前に電圧増幅管が配置される。
モノーラルアンプでは向って左側から電圧増幅管、出力管、整流管と並ぶ。
こうやって言葉にしてしまうと、他の人が作るアンプとそんなに大差ないようになってしまうが、
できあがったアンプの佇まいには大きな違いが生れてくる。
伊藤アンプにおけるトランスは、いわばビルといえる。
背の高いトランスは高いビル、低いトランスは低層のビル、
真空管はビルというイメージよりも、違うものの感じがする。
トランスとトランスのあいだはそれほど離されていない。
隙間はそれほどない。
だから、その隙間はビルとビルとの間を走る道路であり、
道路を後方から前方に向って走ってくれば、ぱっと目の前が開けてくる。
そこには真空管が立ち並んでいる。