アナログディスクならではの音(その3)
フィードバックといっても、
位相が逆相であればいわゆるアンプでいうところのネガティヴフィードバック(NFB)に、
同相であればポジティヴフィードバック(PFB)ということになる。
同相か逆相、位相関係がはっきりとこのふたつにわかれるのであればことは簡単なのだが、
実際にはそうはいかずさまざまな位相関係が生じている、とみるべきである。
空気中を伝搬してくる振動に関してはスピーカーからの直接音もあれば、
床や壁に反射(一度の反射もあれば二度三度の反射もある)した音もある。
つまりそれらの位相は互いに干渉しあって複雑なものとなっていることだろう。
床を伝わってくる振動に関しても最短距離で伝わってくる新道もあれば、
そうでない振動もある。
それにプレーヤーはたいていなにがしかの台に置かれていて、
その台を伝わって振動はアナログプレーヤーに到達してくる。
アナログプレーヤーが受けている振動の実際を正確に把握することは無理であろう、
と思えるくらい、外部からの振動の絡みあいにさらされている。
床からの振動は台の重量、材質、構造、設置場所などによってある程度コントロールすることはできる。
それでもある程度である。
それにプレーヤーにもサスペンション機構が備わっている。
これがきちんとしたものであれば、使い手の工夫次第であるところまでは抑えられよう。
けれど空気中を伝わってくる音という振動に関しては、
その影響を逃れるには(小さくするには)、音量を下げるくらいしか手はない。
このことを徹底すれば、
スピーカーから音を出さずにヘッドフォンで聴けばいい、ということになる。