ベートーヴェン(その2)
そう感じさせてくれた演奏は、おそらくカザルスのものだったような気もする。
それも第7番ではなく、第8番だったのではなかろうか。
人にすすめられて聴いたカザルスの7番で、うすうすながらも、そう感じていたのが、
カザルスの8番によって、はっきりと気づかされた、と曖昧の記憶はそう言っている気がする。
「音楽は、案出されたり構築されたりしたものではなく、成長したもの、
いわば直接に『自然の手』から生まれ出たものである。この点において、音楽は女性に似通っている。」
フルトヴェングラーのこの言葉も、
いま鳴っている音が、続く音を生み出していく、ということを語っているのだろうか。
そうだとしたら、ベートーヴェンの音楽は、「女性に似通っている」ということになるのだろうか。