素朴な音、素朴な組合せ(その9)
友人も、その友人もオーディオに特に関心はない人たちだった。
友人の友人は、ギターを演っているということだった。
そんなふたりが、「気持いい音!!」といいながら、喜んでくれた。
私も、思わぬ音に、すこし驚いていた。
屈託のない音、とは、こんな音なのか、と思うくらい、ストレスなく音が伸びてくる。
プリメインアンプで鳴らしていたしスピーカーケーブルも、適当なものを接いでいた。
とにかく、すこしでも早く音を出すために、そのへんにあったものを利用しただけの、
急拵えのシステムにもかかわらず、聴いているのが楽しくなってくる。
アルテックの755Eという、基本設計はかなりふるいフルレンジユニットのもつ素性のよさ、
ダンボールによる平面バッフル、それから人間支持機構が音に反映されたのだろうか。
ダンボールによる平面バッフルはそれほど大きなものではないから、
低域は低いところまでのびていたわけではない。
素直にすーっと高域までのびているわけでもない。レンジの狭さを感じさせる高域だ。
ナローレンジの音だ。
けれど、音楽を鳴らす上で、大事な帯域である中域において、
このときのシステムは、ごまかしが、ほとんどないといえるだろう。